

クンクンクン…何だかいい匂いがしますね♪

煎れたてのコーヒーを飲んでいたんですよ。
昔からブラックコーヒーが大好きで、毎日4杯は飲んでますよ!


そうですね、確かに飲む量は他の方より多いかもしれませんね。
では今日はコーヒーの魅力についてご紹介させていただきたいと思います!
私はコーヒーが大好きです。
大学受験時代、勉強中の眠気覚ましに飲み始めたコーヒーですが、
今では毎日欠かさず飲むほどのコーヒー愛好家です。
実はこのコーヒー、正しく付き合えばたくさんの健康面でのメリットがあることが分かってきました。
今回は、コーヒーの魅力について、長生きという観点からご紹介していこうと思います。

オススメの記事の読み方をご紹介しています。
未読の方はぜひご覧になってみて下さい。
「コーヒーと死亡率の関係」および「コーヒーと脳卒中の関係」を、医学論文を引用しつつ、ご紹介しています。また健康習慣としてメリットの多いコーヒーですが、たくさん飲む上で知っておくべき注意点をまとめました。健康で安全で快適なコーヒー習慣について一緒に学びましょう!
コーヒーの飲みすぎは危険??

例えばコーヒーの飲みすぎで寿命が短くなってしまうようなことがあれば、飲みすぎは良くないですよね。

体に負担がかかっているんじゃないかと余計な心配もあります。

まずはコーヒーの摂取量と健康について、考えていきましょう!
2008年に報告された「コーヒーの摂取量と心血管血管疾患による死亡率の関係」に関する研究をご紹介します。
To assess the association between coffee consumption and mortality from cardiovascular disease (CVD), cancer, and all causes during 18 years of follow-up in men and 24 years of follow-up in women.
「コーヒー摂取量と心血管疾患による死亡、がんによる死亡、あらゆる原因による全死亡の関連について評価するために行われ研究であり、男性では18年間、女性では24年間のフォローアップを行った」研究です。
41,736 men and 86,214 women with no history of CVD or cancer at baseline.
「心血管疾患やがんの既往のない男性4万1736名、女性8万6214名」の方が研究対象なりました。
Regular coffee consumption was not associated with an increased mortality rate in either men or women. The possibility of a modest benefit of coffee consumption on all-cause and CVD mortality needs to be further investigated.
結論として「定期的なコーヒーの摂取は、男女共に死亡率の上昇とは関連してなかった。コーヒー摂取による総死亡や心血管疾患による死亡の予防の可能性については、さらに研究する必要がある」とのことです。

因果関係の証明はハードルが高いので少し控えめな表現に感じるかもしれませんが、コーヒーが寿命を伸ばす可能性が示唆されたというだけでもインパクトが大きいですよね!解析対象者の人数は多いですし、追跡期間も申し分ないと考えます。結果の詳細は、次のセクションでご紹介します。

コーヒーの安全性に心配があったら、どんなにメリットばかり主張されても耳に入ってきませんからね。
研究結果の詳細、コーヒーにより死亡率低下!?
左側が男性のデータ、右側が女性のデータになります。
横軸はコーヒーの摂取量を表していています。
左から順に、コーヒーを飲まない人、1日1杯飲む人、1日2杯飲む人と並び、一番右側は1日6杯コーヒーを飲む人です。
縦軸が総死亡のリスク、つまり死因を特定の病気に限定せず死亡したかどうかのリスクです。
なお数字(RR:Relative Risk)が1.00より低いと、コーヒーを1日に1杯も飲まない人と比較して、死亡リスクが低くなるとご理解ください。
男女ともにコーヒーの摂取量が多いほど、死亡リスクが(右肩下がりに)低下している傾向にあることが分かります。
また男性の少量コーヒー摂取者では、死亡率が高まるように見えますが、
統計学的に検討したところ、有意な上昇ではないことが確認されており、
心配しすぎる必要はないと考えられます。その詳細は次のセクションでご紹介します。
サブグループ解析、特にコーヒーの恩恵が得られる人の特徴
ここではサブグループ解析の結果をご紹介します。
サブグループというのは、特定の特徴を持つグループのことです。
サブグループ解析はそのサブグループ毎に統計解析を行うことになります。
例えば、男性の方だけ、喫煙者の方だけ、肥満の方だけというようなグループです。
特定のグループだけ結果が異なることは疫学の世界ではよく見受けられます。
ではまずは男女別の結果の詳細を見てみましょう!
本文中に記載されている表を掲示します。上段には男性、下段には女性の結果が示されています。
1ヶ月に1杯未満のコーヒー摂取者と比較して、1ヶ月に1杯〜1週間に4杯未満、1週間に5-7杯、1日2-3杯、1日4-5杯、1日6杯以上の方の全死亡のリスクが記載されています。
1.07(0.99-1.16)、1.02(0.95-1.11)と記載されています。
「()内の数字が1.00を跨ぐ場合、統計学的には死亡率の上昇はない」と考えることができます。
他の年齢のみや年齢と喫煙習慣を補正した項目を見ても、統計学的に有意に死亡率は上昇させていませんので、
「男性においても、1日1杯程度のコーヒー摂取は問題ない」と言えます。
なお補正については下記の記事で解説しています。
アドホックこんにちは。ドクターアドホックです。ヘルシーアシスタントのヘルシーです。アドホック皆さんは普段ある時のスピードを意識したことはありますか?[…]
今度は下段の女性の欄を見てみましょう。
例えば1日に4-5杯コーヒーを飲む人のデータは0.74(0.68-0.81)と記載されています。
この場合、「()内の数字が共に1.00未満であり、統計学的に死亡率が低下する」と考えます。
・身長140cmの場合、体重58.8kg以上の方
・身長150cmの場合、体重67.5kg以上の方
・身長160cmの場合、体重76.8kg以上の方
・身長170cmの場合、体重86.7kg以上の方
・身長180cmの場合、体重97.2kg以上の方


論文では、「心臓血管疾患」がコーヒーの摂取のより低くなっていましたよ!
他の疾患、例えば「がん」による死亡率には、コーヒーは影響していないという結果でした。

むしろ1日に何杯も飲んだ方が結果が良いというのは驚きでした!
コーヒーは寝たきり予防に効果的!?
もうひとつ、コーヒーと脳卒中の関連について検討した研究をご紹介します。

手足の不自由や言葉の話にくさなどの後遺症を残すことで、介護が必要な状態になってしまう可能性もある怖い疾患でした。
Long-term coffee consumption was not associated with an increased risk of stroke in women. In contrast, our data suggest that coffee consumption may modestly reduce risk of stroke.
結果の概要、コーヒーによる脳卒中予防効果!?
We analyzed data from a prospective cohort of 83,076 women in the Nurses’ Health Study without history of stroke, coronary heart disease, diabetes, or cancer at baseline.
(前略) this cohort was established in 1976, and information from the participants has been updated every 2 years. We used 1980 as the baseline because this was the first year in which information on diet was collected. For the present analysis, we excluded participants with a history of stroke, coronary heart disease, diabetes, or cancer at baseline and those with no information about coffee consumption at baseline (n=879), leaving 83 076 women.
簡単に説明します。
1ヶ月に1杯未満のコーヒー摂取者と比較して、1ヶ月に1杯〜1週間に4杯未満、1週間に5-7杯、1日2-3杯、1日4-5杯、1日6杯以上の方の脳卒中発症のリスクが数値で記載されています。
まずは一番右の「p value for trend」を見てみましょう。
「Age adjusted」つまり「年齢を補正」したモデル以外の、下3つの補正ついて、p値が0.05を下回っています。
これが統計学的に「有意である」と考えます。
簡単に表現すると「コーヒーを飲む量が多いほど脳卒中の発症率が下がる傾向にある」ということを意味しています。
p値のことを有意水準と呼びますが、興味のある方は下記の記事のコラムも参考にしてください。
アドホックこんにちは。ドクターアドホックです。ヘルシーアシスタントのヘルシーです。アドホック突然ですが皆さん、意識して体を動かすよう心がけていますか?[…]
また有意に脳卒中の発症リスクが有意に低下するコーヒー摂取量については、
概ね「1日2杯以上」であることが読み取れます。
例えば「multivariable model 1」の欄で、
1日2-3杯のコーヒー摂取をする方の脳卒中のリスクは0.81(0.70-0.95)と記載されています。
これはコーヒーを飲まない方と比較して、脳卒中のリスクが0.81倍、つまり19%低下することを意味しています。

サブグループ解析、特にコーヒーの恩恵が得られる人の特徴
さらに下記に該当する人は、よりコーヒーの恩恵を受けられると論文では報告されています。
・高血圧や脂質異常症のない人
・タバコを吸わない人
・お酒を飲まない人

コーヒーをたくさん飲む、それだけで脳卒中対策になるという訳ではなく、喫煙や高血圧、脂質異常症などの動脈硬化のリスクにも配慮が必要なんですね。

ヘルシー
コーヒーを飲む上での注意点の確認

メリットの多いコーヒーですが、最後に注意点を確認しておきましょう!
注意点をまとめるとしたの通りになります。
② カルシウムの排泄促進
③ 覚醒作用のよる睡眠障害のリスク
④ カップコーヒーで1回に2杯まで、1日に6杯までを上限とする

ヘルシー

ヘルシー

確かにそうですね。ただカルシウムの摂取を心がけていただければ問題になることはほとんどありません。
またカルシウムの吸収にはビタミンDが重要なので、知識として覚えておきましょう!

ヘルシー
むしろコーヒーのメリットのようにも感じますけども…

最後に飲む上限量について説明します。
欧州食品安全機関(EFSA:European Food Safety Authority)からの提言で、
成人の1日あたりのカフェイン摂取量は上限は400mgとされています。
「Intakes up to 400mg per day (about 5.7mg/kg bw per day) consumed throughout the day do not raise safety concerns for healthy adults in the general population, except pregnant women.」
各飲料のカフェイン含有量は下の図が参考になります。
カップコーヒーで1杯(220ml)あたりカフェイン50mgが含まれていて、
フィルターでドリップした場合は1杯(200ml)あたりカフェイン90mgが含まれています。
エスプレッソだと1杯(60ml)で80mgのカフェインが含まれています。

ヘルシー
カップコーヒーなら最大8杯まではぎりぎり飲める計算ですね。
あとは栄養ドリンク中のカフェインにも注意ですね!

あとはお子さんや青少年、妊婦さんにはこの上限量は当てはまりませんのでご注意ください!
Children and adolescents
The single doses of caffeine considered to be of no concern for adults (3mg/kg bw per day) may also be applied to children,
Pregnant/lactating women
Caffeine intakes from all sources up to 200mg per day consumed throughout the day do not raise safety concerns for the foetus.
「子供および青年期の方のカフェイン摂取量の上限:1日あたり3mg/kg (50kgで150mg)」
「妊婦および授乳中の方のカフェイン摂取量の上限:1日あたり200mg」
まとめ
・コーヒーの日常的な摂取は有害ではない!
・積極的なコーヒー摂取で寿命が伸びる!
・推奨量は毎日4杯、ただ夕方以降はできるだけ避ける!

最低限の注意だけ守れば、魅力的な飲み物なんですね!


あっ!レイジーさん…
でもいくらコーヒーが体にいいからって…
そんなに砂糖ばかり入れたら良くないですよ…
