

診療のポイント
頭痛は大きく3つに大別されます。①一次性頭痛、②二次性頭痛、③神経痛・顔面痛です。
原因となる器質的疾患の有無で一次性と二次性に分けられますが、重要なのは、緊急性を有する二次性頭痛を見逃さないことです!緊急性の高い二次生頭痛の代表疾患が、くも膜下出血、髄膜炎、急性緑内障、脳腫瘍、側頭動脈炎などです。特にくも膜下出血と髄膜炎を最優先で除外しましょう!
なお一般外来で最も多い頭痛の原因は、感冒に伴う頭痛であり、これを除くと緊張性頭痛、片頭痛とされています。
注意すべき兆候
② 50歳以降で初めて生じた頭痛
③ くしゃみや咳などで症状が悪化する頭痛(髄膜刺激症兆候)
④ 神経局所症候を伴う頭痛
⑤ 発熱、項部硬直、視力障害を伴う頭痛
⑥ 早朝からの頭痛
⑦ 皮疹を伴う頭痛(帯状疱疹)
⑧ 直近の頭部外傷歴のある頭痛(慢性硬膜下血腫)
片頭痛を疑う病歴
有名な問診項目にPOUNDがあります。
P: Pulsating [拍動性であるか]
O: Hour [持続時間が4-72時間であるか]
U: Unilateral [片側性であるか]
N: Nausea [嘔気があるか]
D: Disability [日常生活への支障があるか]
4項目で陽性尤度比:24.3、3項目で陽性尤度比:3.5、項目以下で陽性尤度比:0.41
高齢者が拍動性頭痛を訴えた場合は、側頭動脈炎を鑑別するようにしましょう!
緊張型頭痛と群発頭痛
日常診療で最も多い頭痛は、片頭痛と緊張型頭痛です。どちらもストレスが誘引となります。
緊張型頭痛は、ストレスや頭頸部の姿勢異常により、頭頸部の筋肉群の持続的収縮が起こり、筋肉の虚血による発痛物質の放出が原因とされています。頭痛は両側性です。
群発頭痛は30-40歳代の主に男性が発症し、片側性で拍動性頭痛であることは片頭痛と同様です。ただ前駆症状がなく突然発症し、眼窩が頭痛部位として多いであることが特徴です。
知っておくと役立つ頭痛!?
アイスクリーム頭痛
冷たいものを摂取した時に生ずる一過性の非拍動性頭痛です。口蓋・咽頭の寒冷刺激が、脳神経(三叉神経、舌咽神経)を介して脳に伝わり、反応性に脳血流を増加させようと脳血管を拡張することで、頭痛が生じると考えられています。
Ice cream headachesは、メイヨークリニックのホームページでも紹介されている疾患です。
Coital headache
「coital」は「性交」という意味で、夜の営みの絶頂時(性的興奮の頂点時)に、突然頭痛を自覚するものです。一般には良性疾患ですが、くも膜下出血との鑑別が必要であり、また脳血管異常のサインとも考えられています。
Sex headachesとして、こちらもメイヨークリニックのホームページで紹介されています。
治療
二次性頭痛の治療
原因となっている器質的疾患に対する治療を行います。
片頭痛の治療
まずは誘引・増悪因子を避けることが大切です。ストレスや睡眠不足、チョコレート、アルコールなどが該当します。
軽症ではアスピリン製剤やNSAIDs、中等症以上ではトリプタン製剤が推奨されます。トリプタン製剤は、虚血性心疾患や脳梗塞の既往がある場合には禁忌になりますので、処方の際は注意が必要です。
また発作頻度が多い場合には、発作予防薬として、ロメリジン(ミグシス®︎)やバルプロ酸などを用います。
鎮痛薬の長期連用は、薬剤誘発性頭痛の原因になるがあります。
緊張型頭痛の治療
後頸部の筋緊張やストレスの緩和を心がけることが大切です。
治療薬には、筋弛緩薬、抗不安薬、抗うつ薬が使用されます。
群発頭痛の治療
アルコールや血管拡張薬が発作の誘引となることがあります。
発作時は主にトリプタン製剤(内服に加え、皮下注製剤あり)が使用されます。
発作の予防を目的に、カルシウム 拮抗剤(ペラパミル塩酸塩)、副腎皮質ホルモン、酒石酸エルゴタミンが使用されることもあります。
頭痛の鎮痛薬が、頭痛の原因となってしまうこともあります。下記①〜③を満たす場合に診断されます。
① 頭痛は1ヶ月に15日以上存在する。
② 3ヶ月を超えて定期的に頭痛薬(トリプタン、エルゴタミン、鎮痛薬、オピオイド)を使用している。
③ 頭痛や薬物乱用により発現したか、著名に悪化している
原因薬物を中止した上で、他剤に変更し、さらに予防薬の投与を検討します。
おわりに

