【睡眠不足とパフォーマンス】無自覚ながらミス多発!寝不足は仕事や人間関係に悪影響!

 

アドホック
こんにちは。ドクターアドホックです。
ヘルシー
アシスタントのヘルシーです。
アドホック

忙しい毎日をお過ごしの方も多いと思いますが、十分に睡眠はとれていますか?

レイジー
なかなか睡眠時間は確保できないよー!
寝る前のゲームが唯一の楽しみなんだよー!

睡眠が大切なことは皆さんもご理解していますよね!

私も若い時は徹夜や朝まで飲み会にも耐えられましたが、今ではその体力もすっかりなくなってしまいました。

特に寝れない当直業務があった日には、その後も数日間はスッキリしない日々が続きます。

そこで今日は、皆さんの生活の質を決めると言っても過言ではない睡眠について、

「睡眠不足」に注目して、一緒に勉強していこうと思います!

アドホック
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この記事について
睡眠不足の注意点として、自覚症状に乏しい段階から認知機能等のパフォーマンス低下を招くという点が挙げられます。その根拠として論文を引用して紹介します。特に前頭葉の機能低下に関わる症状が初期から認めれます。脳の機能についても簡単に説明していますので、ぜひこの機会に知識を整理してみてください。

仕事のミスが増えたのは、睡眠不足が原因!?

アドホック

皆さんの睡眠時間はどれくらいですか?

ヘルシー
だいたい7時間前後です!
アドホック

レイジーさんはどうですか?

レイジー
毎日4時間くらいかな。
でも体は疲れてないし、元気だよー!
心配ご無用だよー!
睡眠時間が4時間という生活を続けていても問題ないのでしょうか?
残業や接待、スマホゲーム、SNSなどの影響で、就寝時間が遅い日々が続いている方は多いくいらっしゃると思います。就寝が深夜2時過ぎまで起きている方は、睡眠時間がアンヘルシーさんのようになっているのではないでしょうか?
実は睡眠不足には、なかなか自覚症状が現れないという特徴があります!
まずはその点を明らかにした研究をご紹介します。

睡眠不足は自覚困難なことが大問題!

「健康な48人(21-38歳)の方を対象が研究に参加した」

今回は論文の一部をご紹介しますが、先に結論からお伝えしますと、

Chronic restriction of sleep periods to 4 h or 6 h per night over 14 consecutive days resulted in significant cumulative, dose-dependent deficits in cognitive performance on all tasks.

用:Van Dongen HP, Maislin G, Mullington JM, Dinges DF. The Cumulative Cost of Additional Wakefulness: Dose-Response Effects on Neurobehavioral Functions and Sleep Physiology From Chronic Sleep Restriction and Total Sleep Deprivation. Sleep. 2003;26:117-26.

「14日間連続で睡眠時間を4-6時間に制限した結果、認識能力を有する業務において、有意に蓄積的かつ時間依存的にミスの回数が増えていた」という結果でした。

実際の結果を一緒に見ていきましょう!

引用:Van Dongen HP, Maislin G, Mullington JM, Dinges DF. The Cumulative Cost of Additional Wakefulness: Dose-Response Effects on Neurobehavioral Functions and Sleep Physiology From Chronic Sleep Restriction and Total Sleep Deprivation. Sleep. 2003;26:117-26.

順番に解説していきます。

参加者は、下のように4つグループに分けられ、それぞれのデータがプロットされています。

■:連続3日間の断眠
○:1日4時間の睡眠
□:1日6時間の睡眠
◇:1日8時間の睡眠

図に描かれた曲線は、このプロットされたそれぞれの記号を曲線モデルに当てはめた時の軌跡を表しています。

ヘルシー
よく見ると、各記号だいたい真ん中に線が引かれていますね!

左上図のPVT lapsesというのは、「単純作業におけるミスの回数」を表しています。数字が大きいほど、ミスしてしまった回数が多いということです。

PVTは「Psychomotor Vigilance Task」の略です。具体的には、ティッシュ箱ぐらいの大きさのモニターに光がランダムに点灯するので、被験者はその光に反応してボタンを押すという、単純な作業になります。Lapsesは「失敗」という意味です。

次に右上図のSSSは「眠気の自覚」の程度を表しています。数字が大きいほど、眠気が強いことを表します。

SSSは「Stanford Sleepiness Scale」の略で、眠さを尋ねる尺度です。Scale 1は「完全に目が覚めた状態」、Scale 2は「完璧ではないけど集中できるほぼ目が覚めた状態」と本人が自覚している場合に該当します。Scale 4で「ちょっとぼんやりした状態」、Scale 6で「眠くて、睡魔と格闘している状態」、Scale 7が最高点で「もう睡魔と戦えない状態」になります。

アドホック

では1日の睡眠時間が4時間の被験者のデータを見てみましょう!
図の中の「○」が該当します。

まず右上図の「眠気の自覚」の図を見てみると、1日4時間の睡眠を続けてたところ、眠気の自覚の程度は、右肩上がりとはいえほぼ横ばいに近い曲線になっていますね。一番右側は4時間睡眠を続けて14日目を示していますが、この段階でもほぼ眠気の自覚はありません(Scale 1)でした。

一方で左上側の「単純作業におけるミスの回数」を見てみると、1日4時間睡眠を続けた日数に比例して、同じ作業でのミスの回数が増えていることがわかります。

ヘルシー
曲線の傾きが全然違いますね!
つまり「1日4時間睡眠を続けても、眠気のはほとんどありませんが、単純作業でミスを起こす回数が日に日に上昇していく」ことが分かりました!
アドホック

今度は1日6時間睡眠のパターンも見てみましょう!
図の中の「□」が該当します。

ヘルシー
先ほどの1日4時間睡眠のパターンと似ていますね!
繰り返しになりますが要点は、本人に寝不足の自覚がなくても、実際の作業への影響が出てしまうということです!
今度は左下図のDSST correct responseを見てみましょう!
DSSTは「Digit Symbol Substitution Test」の略で、実行機能、処理速度および注意力に関連するテストになります。
下の図をご覧ください。

引用:Jaeger J. Digit Symbol Substitution Test: The Case for Sensitivity Over Specificity in Neuropsychological Testing. J Clin Psychopharmacol. 2018;38:513-519.

The subject copies the symbol into spaces below a row of numbers. The number of correct symbols within the allowed time, usually 90 to 120 seconds, constitutes the score

引用:Jaeger J. Digit Symbol Substitution Test: The Case for Sensitivity Over Specificity in Neuropsychological Testing. J Clin Psychopharmacol. 2018;38:513-519.

「被験者は数字の列の下に、シンボルを転写します。制限時間内、通常は90-120分の正解数でスコアが算出されます」ということです。

日本語にすると「数字シンボル置換検査」というところでしょうか。

ヘルシー
楽しそうなテストですね!
結果の図を見てみると、1日4時間の睡眠の人は毎日少しずつスコアが低下していますね!
このように「寝不足の自覚症状がないのにも関わらず、睡眠不足は認知機能等の低下」を起こします。
アドホック

たとえ自覚の有無はあまり過信しすぎてはいけません!
確実に睡眠不足の魔の手が及んでいるのです!

レイジー
ちーん…

睡眠不足の自覚症状

ここで睡眠不足の具体的な症状を確認しておきましょう!

睡眠不足による症状 
・眠気
・倦怠感
・イライラ
・注意力の低下
・やる気の低下
抑制力の低下
判断力の低下
思考速度の低下

参考Neurocognitive consequences of sleep deprivation. Semin Neurol 2005;25:117-29.
ヘルシー
寝不足になるとイライラして、些細なことで怒ってしまうことはありますよね…
アドホック

そして先ほどご紹介したとおり、眠気や倦怠感などの明らかな自覚症状が出る前から、睡眠不足の悪影響は出現してしまうことが問題でした。特に黄色の下線をつかた症状は、なかなか自覚しにくいですよね。これは主に「前頭葉の機能低下」を示唆する症状です!

ここで脳の構造と機能について、簡単に確認しておきましょう!

脳の機能と構造の簡単なご説明

先ほど前頭葉という言葉が出てきました。大脳の特定の場所のことを指しています。

脳は解剖学的な場所とその機能が綺麗に分かれている臓器です。

まずは脳の構造から確認しましょう!

アドホック

レイジーさん、ちょっと失礼しますね!

レイジー
ん?え!うわー!
やめてくれー!
アドホック

レイジーさんの頭の中を覗かせてもらいました!

脳は大脳と小脳と脳幹に分けられます。

左側が前方(顔面側)、右側が後方(後頭部側)になり、横から脳を見たときのイメージです。

大脳はさらに前頭葉と頭頂葉、側頭葉、後頭葉に分けられ、それぞれ別々の体の機能を担っています。

ヘルシー
どのような機能があるのですか?
①前頭葉
多くの機能があります。具体的には、問題解決能力(計画を立案し実行する力)や興味・関心・注意力・意欲・思考に関する機能の中枢があります。さらに運動に関わる中枢があり、手足を動かす機能や言葉を発するのに必要な機能の中枢もあります。
②頭頂葉
たくさんの機能がありますが、代表的なものに感覚刺激の処理があります。触れたものの形や感触、重さなどの情報を処理する機能の中枢があります。また計算をしたり、文字を書いたり、右と左を区別するような機能も担っています。
③側頭葉
聴覚情報を処理する中枢があり、聞こえてきた情報を理解する機能があります。さらに見たことや聞いたことを記憶したり、感情にも関与する機能があります。
④後頭葉
視覚情報を処理する中枢があります。目の機能が正常であっても後頭葉が障害されてしまうと、ものを見ることができなくなってしまいます。

参考:
MSDマニュアルプロフェッショナル版 脳機能の概要
ヘルシー
たくさんの機能がありますね!前頭葉に注目すると、他の領域よりも高度な機能の中枢があるように思います。問題解決能力や注意力など、社会生活を円滑に行うために必要な機能ですものね!
アドホック

そうですね!さらに理解を深めるために、前頭葉が障害されてしまった場合に、どのような症状が現れるのかを確認しておきましょう!

問題解決が困難となる。
     e.g. 自主的に計画して実行できず、人に指示してもらわないと行動ができない。

・興味・関心、集中力が低下・欠如する。
・注意散漫する。
     e.g. 仕事や特定の作業に長時間集中することできず、さらに作業ミスが増える。
・自制心の低下、社会的な問題行動を起こす
     e.g. 周囲への気遣いができない。自分の思い通りにならないと怒って大声を出す。
・流暢に発語できなくなる
e.g. 言葉の意味が理解できるが、声に出して表現できない。
睡眠不足で最初に出現する症状は、前頭葉の機能低下による高次機能障害でした。
他の領域以上に高度な機能である分、寝不足で体に余裕がない場合には、真っ先に影響が出てしまうのでしょうね!

まとめ

この記事の要点
・睡眠不足の日々が続いても、明らかな自覚症状が出現しないことが多いので要注意!
・睡眠不足は、眠気などの症状がない段階から、前頭葉の機能低下を引き起こし、確実に仕事の正確性や効率を低下させる!
アドホック

お疲れ様でした。

ヘルシー
知らぬ間に睡眠不足の魔の手が忍び寄っているというのは恐怖ですね。
アドホック

この”知らぬ間に”というところが注意ですよね。
「眠気がないからまだ大丈夫!」と睡眠不足が続けていると、知らぬ間に仕事や人間関係の失敗などに始まり、何と最終的には寿命まで縮めてしまいます!
睡眠不足はまるで借金のように積み重なることから「睡眠負債」と呼ばれていますよ!

レイジー
1日4時間睡眠でも「眠気がないから大丈夫!」と豪語していた自分が、まさか借金まみれだったのだね…確かに何かとうまくいかないことが多いとは思っていたけど…ちーん…
アドホック

借金は返済すればなくなるように、睡眠負債も十分な睡眠時間の確保で取り戻せば大丈夫ですよ!元気を出しましょう!

・睡眠不足で眠気や倦怠感、イライラなどの症状を自覚した段階で、睡眠負債の残高は相当額(デフォルト寸前)!
アドホック
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
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