【肺炎】common diseaseの基礎知識を総整理

 

アドホック
こんにちは。ドクターアドホックです。
ヘルシー
アシスタントのヘルシーです。
アドホック

今日は世間を賑わす「肺炎」について、一緒に勉強していきます。

レイジー
肺炎について知っておかないと心配だねー

中国・湖北省武漢市で発生した新型コロナウイルス肺炎の話題が、連日連夜にわたって報道されています。

肺炎の病名について、WHOにより「COVID-19」と命名されました。「COronaVIrus Disease 2019」の略称です。

またCOVID-19の原因ウイルスについては、「SARS-CoV-2」と国際ウイルス分類委員会により命名されました。

肺炎は比較的メジャーな病名であると思いますが、これを機会に知識の整理をしていただこうと思います。

アドホック
宜しくお願いします。
この記事について
肺炎について理解するために、呼吸器の簡単な解剖を一緒に勉強します。次に肺炎は「発生場所の違い」や「病原微生物の違い」によって分類されることを学びます。特に病原微生物には主に細菌とウイルスがありますが、その違いについても理解していただきます。これらの知識を得ることで、肺炎に関する報道や説明をより詳細に理解できるようになることを目指しましょう!

肺炎とはどんな病気!?

肺炎という言葉にどのようなイメージがありますか?

ヘルシー
死に至ることのある怖い病気だと考えています。
日本における死因の第5位に「肺炎」はランクインしています。
やはり死因になり得る「重篤な疾患」です。
特にご高齢な方では重症化しやすいとされていています。またがんや心疾患、糖尿病、自己免疫性疾患などの基礎疾患のある方も重症化のリスクです。
「肺炎」という病名は同じでも、どのような方が、どのような状況で、どのような病原体が原因で肺炎に罹患したのかで、かなり印象が変わります。
アドホック
肺炎についてより深く理解していただけるよう、ご説明していきます!
ではまず肺炎の定義をご紹介します。

簡単に表現すると「細菌やウイルスなどの病原微生物が、下気道に感染し、炎症を起こす疾患」です。

この定義をより詳しく理解してもらうことが今回の目的ですので、順番にお話していきます!

ではまずは「風邪」のお話から始めましょう!

皆さんは一度は「風邪」をひいたことがあると思います。

熱が出たり、鼻水が止まらなくなったり、喉が痛くなったり、咳が出たり、痰が出たり、どれも「風邪」の症状です。

この「風邪」ですが、今回ご説明する「肺炎」と同じ「感染性呼吸器疾患」という疾患グループの病気です。

では両者の違いはどこにあるのでしょうか?

呼吸器の構造を簡単に解説しつつ、両者の違いをご理解いただこうと思います。

簡単な呼吸器の構造の理解

私たちは生きていくために酸素を体内に取り込む必要があります。

「酸素を取り込み、二酸化炭素を吐き出す」ことを繰り返しているわけですが、この呼吸(正確には外呼吸)に関わる臓器を「呼吸器」と呼びます。

そして、この呼吸器は大きく「上気道」と「下気道」に分けられるのですが、

この用語の理解が「風邪」と「肺炎」の違いを理解する上で重要になります!

では早速、模試図で確認してみましょう!

順番に見ていきましょう!

口や鼻から酸素を取り込むと、のどを通過して、気管・気管支を通って、左右の肺に運ばれていきます。気管支を通って最終的には肺の中の肺胞と呼ばれる場所に酸素は到達します。肺胞の近くには肺血管が流れており、その中に酸素は入り込みます。こうして肺血管に届けられた酸素は、次に心臓に送られ、心臓のポンプの力を使って、最終的に全身の各臓器に届けられます。

また肺胞では、上記のような酸素の受け渡しの他に、二酸化炭素の受け取りも行っています。肺胞で二酸化炭素を受け取った後、先ほどの経路を逆戻りし、口や鼻から二酸化炭素は排泄されます。

ヘルシー
酸素や二酸化炭素の通り道について、概要を理解できました!
では各場所の名称も確認してみましょう!
まずのどに当たる場所は、口に近い順に「咽頭」、「喉頭」と呼びます。
ヘルシー
のどの奥が痛んでお医者さんに行って「咽頭炎」と診断されたことがあります。
口を開けて、「あー」っと声を出して見えるのどの奥が咽頭ですね!
さらに奥に進みましょう。
「喉頭」から空気の通り道である「気管」へと続きます。気管は左右に大きく分岐し、「気管支」となります。
この「気管支」は肺の奥に進むに従い、だんだんと細くなっていき、最終的に「肺胞」と呼ばれるガス交換を行う場所につながります。
ヘルシー
肺胞は酸素と二酸化炭素の交換が行わる場所でしたね!
「呼吸器」について理解が深まってきましたか?
これで最後です!下記内容を覚えてください!
・上気道:鼻、口、咽頭、喉頭まで領域
・下気道:気管、気管支、肺胞まで領域
アドホック
お疲れ様でした。ぜひ「上気道」と「下気道」を覚えてください!
では質問です!先ほどから登場している「風邪」ですけど、正式な病名はご存知ですか?
ヘルシー
かぜ症候群」もしくは「急性上気道炎」です!
あっ!なるほど!!「風邪」は上気道が感染場所ということですね!
では「下気道」の感染すると病名は??
アドホック
「気管支炎」や「肺炎」になりますね。ここでは肺胞付近の感染を「肺炎」とご理解いただくとよいと思います!
ではこのセクションのまとめ は次のQ&Aの通りです!
「風邪」と「肺炎」の違いは何でしょうか?炎症が起こっている場所の違いを踏まえて説明してください。
「風邪」は「急性上気道炎」と呼ばれ、感染の主座は上気道です。一方の「肺炎」は、下気道の肺胞レベルでの炎症が主な病態です。
「上気道」と「下気道」の分類ついて
「呼吸器」を「気道系」と「肺胞系」に分けて、気道系をさらに「上気道」と「下気道」と分けることもあります。この場合、上気道は鼻・口・咽頭・喉頭までの領域という点は同じですが、下気道を気管から終末細気管支(肺胞の直前)までとなります。
気管支炎まで含めて「下気道の感染」を「肺炎」としてもよいと考えられています。

感染した組織による肺炎の分類

「肺胞」に感染するか、「間質」に感染するかで、病名が異なります。
まずは下の簡単な模式図をご覧ください。
肺胞付近を拡大した図になります。
肺胞は「ぶどうの房」のような構造をしており、肺胞と肺胞も間の空間を「間質」と呼びます。
この間質に炎症がおこると「間質性肺炎」と呼ばれます。
一般に肺炎というと、一般に細菌やウイルスによる感染症のことを意味しますが、この「間質性肺炎」は感染以外の原因不明の炎症や関節リウマチなどの膠原病に由来する炎症です。
なお今回ご紹介する肺炎は、「肺胞性肺炎」を念頭において解説しています
ヘルシー
「肺炎」という場合、一般は「肺胞性肺炎」のことを指しているのですね!
炎症が起こる場所が肺胞か間質かの違いで、その原因まで異なることが分かりました!

発症場所から分類した肺炎

では次に肺炎の分類を見ていきましょう!

肺炎を発症した場所によって大きく3つに分けられます

簡単にまとめましたので、下図をご覧ください。

ヘルシー
どこで肺炎を発症したのかという情報が大切なのですね!
確かに「院内肺炎」を発症してしまう方は、もともと入院が必要になるような持病がある方ですので、健康な方と比較して肺炎が重症化することは分かります!
アドホック
そうですね。さらに医療機関では抗菌薬などの薬剤が使用されていることから、こうした薬剤に耐性をもった病原体が多くなります。これも「院内肺炎」が死亡率が高くなる原因にもなります。
以前は「市中肺炎」と「院内肺炎」に分類していましたが、
このどちらとも言えないタイプの肺炎が、介護を受けているご高齢の方や医療機関に頻繁に通院する必要がある患者さんなどを中心に多く見られていたこと分かり、その後に「医療・介護関連肺炎」という分類ができました。
①健康な方が罹患する「市中肺炎」
②入院中の方が罹患する「院内肺炎」
③その中間に位置する「医療・介護関連肺炎」

病原微生物による肺炎の分類

感染した病原微生物の違いにより3つに分類されます

①細菌性肺炎
②ウイルス性肺炎
③非定型肺炎
先ほどの発生場所の違いによる分類のように、感染したものが「細菌」か「ウイルス」かの違いで、病名が異なります。さらに「非定型肺炎」というのは、「細菌とウイルスの中間的な特徴をもつ微生物」が原因が起こる肺炎になります。
ヘルシー
「市中肺炎」と「院内肺炎」、そして「医療・介護関連肺炎」の時の分け方と、似ているように感じます。
アドホック
そうですね。特徴がはっきりわかっているものをまずは仕分けしてしまい、その中間にまた別の名称をつけるというのは、医学の分類でよく見受けられます。

コラム:西洋医学を理解する上で重要な「二項対立」という概念

日本の医学部で教育される「医学」というのは、欧米から入ってきた「西洋医学」です。比較として、漢方薬などを用いる「東洋医学」がありますね。そこで医学的な物の捉え方の根本に、西洋の考え方あることを理解しておいて損はありません。その中でも「二項対立」という用語を意識しておくと、医学や西洋から入ってきた学問や事象を理解しておく上で、役に立つと考えています。

私なりの「二項対立」の解釈は、1つの出来事をある1つの基準で線引きすることです。病気の診断を行う場面を考えてみましょう!医師は、患者さんの症状や身体初見、検査データなど総合して、ある病気にかかっているかどうか診断します。例えばレントゲン写真を撮影したところ、鎖骨が折れていることがわかり「鎖骨骨折」と診断したり、内視鏡検査で胃に潰瘍病変が見つかり「胃潰瘍」と診断したり、心臓カテーテル 検査を行ったところ冠動脈に狭窄部が見つかり「狭心症」と診断したり、画像などで客観的に所見があれば診断は比較的容易です。ただ中には、画像などでなかなか診断ができないような病気があります。全身性エリテマトーデスや皮膚筋炎、強皮症など自己免疫性疾患と呼ばれる疾患が代表例ですが、そのような時に「診断基準」が使用されます。最終的にこの基準を下に、確定診断かどうかが決定されます。まさに目の前の患者さんを、ある病気かどうかを白黒つけるイメージです。

このように、まずは線引きの基準を決定し、お互いに矛盾や対立する構造を作ることが二項対立です。今回の肺炎についても、まずは市中か院内かで線引きをする。このように分類するこで、物事をより捉えやすくしています。ただ現実世界は複雑です。既存の基準の分類ではうまく対応できないことがあります。今回の「医療・介護関連肺炎」はまさにこのようねケースです。二項対立で全ての事象がうまくいくとは限りませんが、まずは基準を設けて物事を分断して考える、という基本事項を知っておくと役立つ場面が多くありますので、ご紹介させていただきました。

細菌とウイルスの違いついて

アドホック
よく混同されてしまう細菌とウイルスですが、両者の違いを知っておきましょう!
まず大きさが違います。「細菌>>ウイルス」です。約1000倍の違いです!!
そして決定的な違いは「生き物かどうか」の違いです!
まず細菌です。細菌は自分で栄養を取り込んで、エネルギーを産生する能力を持っています。
そのエネルギーを使用して生存していますし、どんどん増殖することもできます。
これらは細菌が自分の中にそのような「細胞」を持っているから可能になります。
遺伝情報であるDNAやRNAを持っていますので、増殖した時には細菌の特徴が受け継がれます。
DNAというのは、その生物全体の遺伝情報のことを意味します。
RNAというのは、DNAの中にタンパク質の関する情報をコードしている領域があるのですが、その領域の情報を抽出したものになります。DNAと同様に遺伝情報であることは同じですが、タンパク質を生成しやすいように整理された情報になります。
このような「DNA→RNA→タンパク質」というタンパク質が作られるまでの過程を「セントラルドグマ」と呼びます。
レイジー
専門用語が多すぎる!!
この辺りは難しいですよね。
DNAやRNA、タンパク質などの遺伝については、下の記事でも解説したことがあります。
ぜひ参考にしてください。
関連記事

 アドホックこんにちは。ドクターアドホックです。ヘルシーアシスタントのヘルシーです。アドホック皆さんは、日頃ストレスを感じていますか?[…]

ヘルシー
ウイルスは生き物ではないのですか?
ウイルスは生き物というより「物質」です。
ウイルスは細菌と違い自分の細胞を持ちませんので、自分で栄養を摂取してエネルギーを産生することはできません。
また遺伝情報は持っているのですが、DNAかRNAのいずれかの一方のみです。
そこでウイルスは自分がもっている遺伝情報の形によって、さらに「DNAウイルス」と「RNAウイルス」に大別されます。
ちなみに細菌は遺伝情報としてDNAとRNAのいずれも持っていますので、このような分類はありません。
ヘルシー
でもウイルスも細菌のように増殖できますよね?
アドホック
実はウイルス単独では増殖能力がないのですよ!
ウイルスは生物に感染したあと、その宿主の細胞に進入して、その細胞の力を利用して(借りて)増殖していきます!
宿主(シュクシュ)とはウイルスに感染された生物のことを指します。
例えばウイルスが人間の体に進入したとします。
この場合、人間は宿主です。なお訓読みすると「やどぬし」ですので、ウイルスに人間がお宿を提供しているイメージですね。
人間に感染したウイルスは、人間の細胞に進入し、その細胞の能力で自分の遺伝情報のコピーを作らせ、そしてどんどん増殖していくのです。
ヘルシー
他の生物の能力を活用してしまうとは、ウイルス恐るべしです!

そして話題の新型コロナウイルス肺炎「COVID-19」ですが、原因ウイルスについては「SARS-CoV-2」と命名された「RNAウイルス」です。一般にRNAウイルスは遺伝的に不安定であり、変異しやすいという特徴があります。これは感染された人間や動物などの免疫から逃れたり、ワクチンや抗ウイルス薬に対して耐性を持ちやすいという特徴でもあります。

毎年冬季に問題となるインフルエンザも「RNAウイルス」である「インフルエンザウイルス」が原因です。ワクチンや治療薬があるのに完全に防ぐことができず、定期的に大流行してしまう一因として、このRNAウイルスの変異しやすいという特徴が考えられます。

まとめ

この記事の要点
・肺炎は「下気道の肺胞レベル」での細菌やウイルスによる感染症である。
・肺炎は、主に「発生場所」や「病原微生物」によって分類される。
・新型コロナウイルス肺炎「COVID-19」は、「RNAウイルス」である「SARS-CoV-2」による肺炎であり、健康な人にも肺炎を発症する。
アドホック

お疲れ様でした。

ヘルシー
肺炎という病気の全体像について理解できました。
アドホック

新型コロナウイルスコロナウイルス肺炎「COVID-19」については、まず健康な人にも感染するという点で市中肺炎と考えてよいでしょう。
また同じ感染者でも、高齢者や肺や心臓などに持病がある人が、より重症化しやすいことも間違いありません。

レイジー
肺炎になりたくないよー
アドホック

残念ながら、現時点では「特異的」な予防・治療方法は確立されていません。
そこで私たち個人レベルでは基本的な感染対策を徹底する他にありません!具体的には、手洗い・うがいの徹底咳エチケットです!


引用:厚生労働省ホームページ 咳エチケット

レイジー
マスクが手元にない時は「エレン・スタイル」か「ミカサ・スタイル」!!
アドホック

手元にマスクがないのに左上の人体模型に似た方(巨人さん)のように咳が出る際には、中央の男の子(エレンさん)のように「上着の袖を使って鼻や口を覆ったり」、右下の女の子(ミカサさん)のように「ティッシュやハンカチで鼻・口を覆いましょう」ということです!

ヘルシー
またマスクをする時は、右上の切れ長な目の男性(リヴァイさん)や左下の金髪の可愛らしい方(アルミンさん)のように、鼻から口元まで完全に覆い隠すことも重要です!

 

・感染対策の基本は、個人個人が感染症を理解して、自分にできる予防を徹底すること!
アドホック
最後までお読みいただき、ありがとうございました!!
最新情報をチェックしよう!