アドホックこんにちは!今回は「株式投資に役立つ基礎知識」についてまとめます。
株式投資をはじめると、たくさんの専門用語が登場します。
それぞれの用語の意味を理解することで、投資をしたい会社の経営状況について詳細に把握することができたり、同業他社と比べて現在の株価水準が適正かどうかを推測する手助けになることがあります。
またここで紹介するような用語は、他の投資家はみんな知っているものと考えましょう!投資の勝率を少しでも高める為にも、しっかり整理しておきましょう!
投資対象(成長株投資、割安株投資など)や投資期間(短期、長期など)によって、株式投資に対する考え方は十人十色です。全世界株式ETFやS&P500連動型ETFを主軸とした長期投資が、私の基本的スタンスです。それに加えて個別株投資を実践しています。
個別株投資に関しては、「成長株」への「長期投資」を基本スタンスとしてます。私の記事の閲覧に際して、そのスタンスに伴うバイアスが入ることを前提に、お読みいただければ幸いです。
アドホック「成長株」とは、売上や利益の増加が続いており、今後もそのトレンドが続く企業の株です。「グロース株」とも呼ばれます。
ヘルシー「割安株」とは、本来の企業の価値と比べて、株価が割安な状態の企業の株のことです。「バリュー株」とも呼ばれます。
「利益」は企業価値の主要な決定要因
株主になることで、企業の稼ぎ出した利益を共有することができます。株主の望みを極論すると、企業がたくさん利益を出すことです。現在は赤字の成長中に投資する投資家もその多くは、将来的にたくさん利益を稼ぎ出してくれると見込んで投資をしています。
そのため企業の利益が、企業価値である「株価」を決めるといっても過言ではありません。そして利益の源泉は、企業が稼ぎ出した「売上高」です。赤字企業の場合は、黒字化するまで利益はありませんので、その場合は売上高の重要性が高まります。
アドホックまずは売上高や利益について、順番に確認していきましょう!
売上高、営業利益、経常利益、当期純利益
株価はその企業の将来の業績を期待して形成されています。企業の将来を予測する上で、「利益」が最も重要な要素です。
利益には段階があり「売上高→営業利益→経常利益→当期純利益」と計上されていきます。
それぞれの詳細は、企業の損益計算書(P/L:Profit and Loss Statement)で確認することができます。

アドホックP/Lを見ることで、その企業の売上高から当期純利益まで、どのような収益や費用が発生したのかを把握することができます。
「売上高」は企業が経営よって稼ぎ出した全ての収益の全てです。
「営業利益」は売上高から原価や人件費、広告費などの経費を差し引いたものです。本業で稼ぎだした利益になります。
「経常利益」は営業利益から、配当金や受取利息など営業外収益と、利息支払などの営業外費用を差し引いたものです。
「当期純利益」は経常利益から、不動産の売買など本業以外の特別利益や特別損失を差し引いたものです。
営業利益=売上高ー売上原価ー販売管理費及び一般管理費
経常利益=営業利益+営業外利益ー営業外費用
当期純利益=経常利益ー特別利益ー特別損失ー税金
ヘルシー売上高が多い企業でも、そもそもの売上原価が高い(粗利率が低い)ビジネスだと、営業利益は少なくなってしまいます。
アドホックそうですね。また売上高が多いほど好ましいですが、そのために過度な宣伝広告費や人件費をかけてしまうケースでも、営業利益は低くなってしまいます。
ヘルシーなるほど…売上高だけでは、最終的な利益は正確に把握できないのですね。ただ営業利益や経常利益までしっかり確認すれば、その企業の状況が見えてくるのですね!
基本的に企業成長とともに株価の上昇が期待できますので、売上高、営業利益、経常利益、当期純利益が右肩あがりの企業に投資するように心がけています。
その中でもグロース株投資家の立場として、売上高成長が今後も期待できる企業のうち、粗利率が高いビジネスモデルでかつ販管費の少ない企業、つまり営業利益率(=営業利益/売上高)の高い企業を見つけられたときは、投資を検討できます!競合他社がいなければ、さらに魅力的です!
重要な財務指標や株価指標の解説
ここからは、株式投資を行う上で頻繁に遭遇する専門用語を解説していきます。
アドホック指標の整理方法として、「株価により変動するかどうか」で分類することと分かりやすいと思います。
株価は市場の需給により、日々変動しています。
ある企業の株価を見ているだけでは、投資すべきなのかどうかは決められません。
・適正な株価なのか?
・株価は割安なのか?
・株価は割高なのか?
・何の基準に対して割安・割高なのか?
・そもそもどんな企業なのか?
・現在の経営状況はいいのか?
これから紹介する指標は、投資判断をする上で参考になるものばかりです。
以下の手順で銘柄について理解することをお勧めします。
手順①:よく知っている企業でない限り、株価だけを見ていても投資判断はできません。まずは現在の株価は見ずに、気になる企業についてを「株価により変動しない指標」を用いて、どのような経営状況なのか調べます。魅力的な事業内容、利益体質、ブランド力、成長性など、魅力的な投資対象となるかを検討します。「株価により変動しない指標」は銘柄選定に有用です。
手順②:投資したい企業が見つかったら、この段階で初めて現在の株価を見みます。「株価により変動しない指標」は、現在の株価が割高・割安について情報を提供してくれるので、実際に株を購入するかどうかの判断の参考になります。「株価により変動しない指標」は投資のマーケットタイミングに有用です。
アドホック投資を初めて間もない頃、「株を安く買って、高く売る」ことが株式投資の基本と学びました。まさにその通りです。そこで私は、後述する「株価により変動しない指標」であるPERやPBRを用いて、割安株をスクリーニングし、それに投資することを心がけていました。ただあまりよい投資成績は残せませんでした。そこで気がついたことは、割安な株は市場が評価していないそれなりの理由があり、ほとんどの場合、割安なまま放置されたまま時間が経過するということでした。
ヘルシー株価は需要と供給で決まりますから、人気がない株はなかなか買い手が現れないので、株価も上がりませんよね。
アドホックそうですね。特に今後の成長性が見込めない場合や斜陽産業の場合、どれだけ株価が割安でも、その後も割安のまま放置されているケースが大半だと思います。
ヘルシーそこで株価よりも、成長性や利益率などの企業の本質的な価値に最初に目を向けるようにしているのですね!
アドホックその通りです!ただここで勘違いしてはいけないのは、バリュー株投資で成果を挙げられている諸先輩方は多くいらっしゃるということです。私には偉大な投資家のような割安を発掘する千里眼がありませんでしたので、現在はグロース株投資をメインにしています。
ヘルシーバリュー株投資の場合は、銘柄選定を「株価により変動する指標」から始めるのが良さそうですね!
では早速、各指標について確認していきましょう!
株価により変動しない指標
EPS (Earnings per share)
「一株当たり純利益」のことです。
EPS=当期純利益÷発行済み株式数
発行済み株式数が変わらないとすると、当期純利益が高くなるとEPSが上昇します。
例えば、企業経営が順調で売上高が右肩上がりの場合、売上原価や販管費などに大きな変動がなければ、最終的にEPSが上昇していくことになります。
また自社株買いによる発行済み株式数の減少も、EPSが上昇します。
アドホック企業が利益を株主に対して還元する方法として、主に「自社株買い」と「配当」があります。一見配当の方が株主に感謝されるように感じますが、私は自社株買いのほうが好きです。持っている株の価値が底上げされることは大歓迎です!
ヘルシー市場でも、自社株買いの発表が株価が上昇に繋がるケースが多いですよね!
その主な理由はEPSの上昇であることを理解しておきましょう!
ROE (Return On Equity)
「自己資本純利益率」のことで、企業の収益力をはかる指標です。
ROE(%)=(当期純利益÷自己資本)×100
ROEが高いほど、その企業の収益力が高いと考えられます。
例えば自己資本1500万円で当期純利益240万のA社と、自己資本40000万円で当期純利益3600万円のB社があるとします。
A社とB社では企業の規模が違いますが、ROEを用いて、収益性を比較することができます。
A社はROE=(200/1500*100)=16、B社はROE=(3600/40000)*100=9になりました。
つまり会社規模や純利益の絶対額の少ないA社の方が、実はB社よりも収益力が高いということがわかります。
ROA (Return On Assets)
「総資産利益率」のことで、ROEと同様に企業の収益性をはかる指標です。
ROA(%)=(当期純利益÷純資産)×100
ROEと同様に、ROAが高いほど、その企業の収益力が高いと考えられます。
ROEは自己資本が分母でしたが、ROAは総資産が分母になります。
ここで総資産や自己資本について、用語の整理をしておきましょう!
下の表を参照ください。「貸借対照表」と呼ばれ、別名バランスシート(B/S:Balance Sheet)と呼ばれます。決算書に損益計算書(P/L)と一緒に記載されてます。

左側の資産の部と右側の負債の部の合計金額は一致するように会計処理されており、バランスシートと呼ばれます。
資産の部の流動資産と固定資産を合計したものが「総資産」です。ROAの分母に相当します。
右側の負債の部のうち、流動負債と固定負債は他人資本と呼ばれ、銀行からの借入金などがこの中に含まれます。
総資産(流動資産+固定資産)から他人資本(流動負債)を差し引いた金額が、純資産になります。そしてこの純資産が自己資本と呼ばれます。これがROEの分母に相当します。
アドホックROEの分母の自己資本を具体的に説明すると、株主から出資を募った「資本金」や「利益余剰金」による元手と、それによって事業を進めたことで獲得した「利益余剰金」になります。つまり「株主の立場」として、出資した持分に対してどれだけ会社が儲けてくれたかを表す指標がROEになります。
アドホックROAの分母の総資産には、株主から募った資金などの加えて、銀行からの借入などの負債も含まれます。融資金額の匙加減で負債は変動し、より少ない負債で利益で計上できれば、ROAは高くなりますね。つまりROEと比較すると「会社の経営者」の立場での財務指標とも言えますね。
株価により変動する指標
時価総額 (Market capitalization)
時価総額=株価×発行済み株式数
時価総額1億円の企業Aが上場しているとします。企業Aの発行済み株式数が10万株であれば、企業Aの株価は1000円になります。
今度は同じ時価総額1億円の企業Bがあるとします。企業Bの発行済み株式数が5万株です。この場合、企業Bの株価は2000円になります。
同様に、時価総額1億円で発行済み株式数が200万株の企業Cでは、株価は50円になります。
アドホック株価だけでは企業の規模は分からないことがご理解いただけると思います。必ず時価総額で企業規模を把握するようにしましょう!
PER (Price Earnings Ratio)
「株価収益率」のことで、株価が割安かどうかを判断する際に用いる指標です。
アドホックこれから獲得が見込まれる当期純利益に対して、現在の株価が割安かどうかを表す指標です。
PER=株価÷1株あたりの当期純利益
ヘルシー「1株あたりの当期純利益」はEPSと呼ばれているのでしたね!
「企業の最終利益の何倍で、株式を購入することができるか」と表しています。
ある企業の株価がPER=12の時に株式を購入した場合、1株あたりの当期純利益の12倍の価格で株主になったということです。
もう少し別の考え方をすると、例えば時価総額6000万円で年間500万円の純利益を計上している会社があるとします。この会社を6000万円で買収して、引き続き毎年500万円の純利益を得られるとすると、12年間で買収時の投資金額を回収することができます。この12年間がPERとなります。
ヘルシー元本回収までの期間が短ければ短いほど、安い値段で会社を買収することができたということです。つまりPERは低いほど、その株価は割安であると考えられます。
PBR (Price Book-value Ratio)
「株価純資産倍率」のことで、株価が割安かどうかを判断する際に用いる指標です。
アドホック現時点で企業が有している純資産額に対して、現在の株価が割安かどうかを表す指標です。
PBR=株価÷1株あたりの純資産
株主には残余財産分配請求権があります。企業が解散した場合に、債務を返済したあとに残った財産を受け取る権利です。
PRBが1倍以下というのは、名目上、企業が解散したときに株主が受け取れる金額が、現在の株価よりも高いということになります。
ヘルシーPBRは低いほど、その株価は割安であると考えられます。また企業の資産価値に注目した指標ですので、株価の急激な下落時に、PBRの数値を理由に株価が下支えされることがあります。
PSR (Price to Sales Ratio)
「株価売上高倍率」のことで、株価が割安かどうかを判断する際に用いる指標です。
PSR=時価総額÷売上高
ヘルシー「時価総額=株価×発行済み株式数」ですので、PSRは株価に関連した指標です。
アドホック今期見込まれる売上高に対して、株価が割安かどうかを判断する際に用います。
予想収益に対して株価の割安度を示すという意味では、PERと同様の指標になります。
PERにはEPSが必要です。つまり「利益が出ている=黒字企業」であることが条件になります。
一方でまだまだ成長中の企業では、事業拡大や売上高の増加を見込んで、積極的に研究開発費をかけたり、戦略的に広告費を費やしたり、設備投資を行うなどをした結果、当期純利益を計上できないことも少なくありません。そのような赤字企業ではPERは計算できませんので、売上高のみで計算可能なPSRが有用になります。
PSRが低いほど割安であることを意味します。
おわりに
アドホックお疲れ様でした。今回はこのあたりで一区切りにしたいと思います。
ヘルシーひとつ質問です!各指標の基準値などの具体的な数値についてはお話されていませんでした!例えばPERがいくつなら割安か等も教えていただけますか?
アドホック敢えて基準値に触れなかったのには理由があります。例えばPER=10なら一般に割安とされていますが、もし同じような業種で同じような収益性・財務体質の企業がPER=8で取引されていた場合、後者の方がより割安になりますよね?
ヘルシー同業他企業の指標と比較することの方が重要なのですね!
では同じような企業がなかったらどうに判断すればいいですか?
アドホックいい質問ですね!その場合は比較ができないので、判断が難しいですね。
でもそれ以上に大事なことに気がつきませんか?
「同じような企業がない」ということは……
ヘルシーあ、なるほど!競合他社がいないこと自体が価値あることなのですね!
それだけでも株価にプレミアムがつきそうです!
株価の予測は本当に難しいです。安易に目標株価を予想して、思い通りならなず、結果として損失を出した記憶は数えきれません。
そこで上記のような銘柄選定のスタンスになりました。まずその企業が行っている事業内容の概要を見て、その企業の将来性や成長性、業界内での優位性や競合他社の存在、参入障壁の高さなどを可能な限り考えてみます。
その上で興味がある企業については、「株価によって変動しない指標」を用いて収益性などを調べます。
そこまでクリアして初めて、現在の株価に目を向けてみます。
アドホック株価だけ見ていると、少し下落してきただけで、バーゲンセールのような気分になってしまうのです…
ヘルシー「現在の株価で計算されたPERとPBRで割安でお買い得だから買いました!」ではなく、「ビジネスモデルや利益体質の優秀な企業を見つけてた上で、しばらく株価の推移を見ていたところ、企業価値は変わらないにも関わらず市場の影響で株価が下落し、PERやPBRが低下してきたので、割安だと考えて買いました!」というスタンスをオススメしているのですね!
アドホック購入のタイミングの判断には、今回ご紹介した割安になったかどうか以外にも、これまでの株価の推移や出来高などを指標に、チャート的な買い場を判断してエントリーする方法もあります。一般に「テクニカル分析」と呼ばれる手法です。
株式投資は一筋縄ではいきませんが、日々多くの学びを提供してくれます。
投資というとリスクを感じる方も多いと思いますが、株式投資を行うメリットは非常に多いと感じています。
残念ながら株式投資や金融・経済について体系的に学べる機会は限られていますので、ぜひ一緒に勉強していきましょう!
アドホック最後までお読みいただき、ありがとうございました!!