

まずは前回の簡単な復習です。
「To the Moon」は「急騰期待銘柄への投資」と定義しました。
そしてそのような急騰銘柄への投資は習慣化しやすい特性があること、ひいては様々な症状を起こすことがあり「To the Moon Syndrome (TMS)」と私が勝手に命名しました。
アドホックこんにちは!アドホックです。ヘルシーアシスタントのヘルシーです!今日はどんなお話でしょうか?アドホック今日は株式投資の世界で話題のトピックですよ![…]
依存症とは?
「To the Moon Addiction Disorder (TMAD)」は、前回ご紹介した「To the Moon Syndrome」よりも、症状が進行したものを想定しています。
まずは「依存」という言葉の意味を理解するために、下記の厚労省ホームページの記載をお読みください。
Q.依存症ってなに?
A.特定の何かに心を奪われ、「やめたくても、やめられない」状態になることです。
Q.依存症って何が問題なの?
A.依存対象のことを大事にしすぎることで、自分や家族の生活に不都合が生じます。
Q.どうしてやめられないの?
A.コントロール障害(自分の意思でやめられない病気)になってしまっているからです。


To the Moon Addiction Disorder (TMAD)の診断
では「To the Moon Addiction Disorder (TMAD)」のチェックリストをご紹介します。


5項目以上該当した方は「To the Moon Addiction Disorder (TMAD)」!?
①興奮を得るために、金額を増やして急騰銘柄に投資したいという欲求を持つ。
②急騰銘柄を売却したり、ポートフォリオの比率を下げたりすると、落ち着かなくなる。またはいらだつ。
③急騰銘柄への投資を制限する、減らす、または中止したりするなどの努力を繰り返したが、成功しなかったことがある。
④急騰銘柄投資に心を奪われることが多い。(例:次の急騰銘柄への投資計画を立てること、急騰銘柄投資への元手を得る方法を考えることを絶えず考えている)
⑤苦痛の気分(例:無気力、罪悪感、不安、抑うつ)のときに、急騰銘柄投資をすることが多い。
⑥急騰銘柄への投資で損失を出した後、別の日にそれを取り戻しに帰ってくることが多い(失った金を”深追いする”)。
⑦急騰銘柄投資へののめり込みを隠すために、嘘をつく。
⑧急騰銘柄への投資のために、重要な人間関係、仕事、教育、または職業上の機会を危険にさらし、または失ったことがある。
⑨急騰銘柄への投資によって経済的にどうしようもなくなり、他人に金を出してくれるよう頼む。

でも「To the Moon」はやめられなよー!

心配が的中してしまいました…

依存症の原因は「報酬系」
前回は「オペラント条件付け」による「正の強化」についてお話しました。
簡単に説明すると、特定の行動を行って何らかの報酬が得られると、その行動を再び実行し、次第に習慣化していくという一連の過程のことになります。


レイジーさん、ちょっと失礼しますね!

やめてくれー!

引用:東邦大学ホームページ
上の図の緑線が「ドーパミン神経経路」になります。
この経路は腹側被蓋野から扁桃核にかけて形成されていて、「報酬系」に関わる神経回路になります。
報酬系を担っている神経伝達物質は名前の通り「ドーパミン」です。
ドーパミンにより腹側被蓋野から扁桃核の報酬系神経経路が刺激されると、最終的に前頭前野に信号が投射されています。




そしてこれらの行為で、事実上、報酬系神経経路の乗っ取られることで「依存症」が成立すると考えられています。


「TMS」および「TMAD」への「処方箋」
まず最初に重要なことをお伝えします。
ボラティリティの高い銘柄で「明確にルールを決めて短期投資をされている方」には、以下の内容な不要になると思います。
急騰銘柄への投資を初めて、辞めたいと思っても辞められずにいる方に、ぜひお役立ていただければと思います。
処方箋①「TMSやTMADの病態を理解する」
まずは「このブログを読むこと」!
これが最初の治療方法です!

まさかここでブログの宣伝ですか!?

知らぬ間に習慣化や依存症に陥いる可能性があることを、これを理解してもらうことが最も効果的です。
どうして辞めることができなくなるのか?
どうして依存症は形成されるのか?
その心理学的事実や医学的事実を認識することで十分に効果があると考えられます。


確かに事実を学ぶことで冷静に自分のことを考えることができますよね!
処方箋②「認知行動療法的アプローチ」
次は認知行動療法的アプローチです。
先程の処方箋①と類似した内容になります。
まず思考や行動のパターンを見直し修正する「認知行動療法」というものがあります。
「認知」とは考え方で、それと行動を同時に見直す治療法のことです。
まずは株式投資に対する認知(見方や考え方、価値観)を投資家さん自身で検討し、その認知を変えていくことで、これからの行動や生活を改善するよう目指します。

次にTMSやTMADでお困りの投資家さんに、自身の「認知のかたより」を自覚してもらいます。

具体的にはもともとインデックス投資家だった方が、現在は急騰銘柄の短期売買を正当化するようでしたら、もとの株式投資に対する認知にかたよりが生じていることになりますね!
そして「認知のかたより」を自覚していただき、「急騰銘柄の短期投資を辞める」ことの意欲を向上させます。
このように心構えが作られたら、再発方法を考え、具体的な方法を実践していくことになります。

処方箋③「みんなに相談する」「SNSで打ち明ける」
ここからは具体的な方法ですね。
まずは周囲に相談して、悩みを共有してもらうことが有効です。
相談をすることで自分の抱えている問題を改めて客観視することができます。
さらには周囲に再発しないことを宣言することで、抑止力を得ることもできるので、非常にオススメです!


処方箋④「デジタルデトックス」
処方箋③と矛盾してしまうのですが、報酬系神経回路が形成されてまだ依存状態が続いている状況においては、他人の「爆益報告」だけでもスイッチが入ってしまう可能性があります。
するとまた報酬系の暴走が始まってしまいます。
TwitterなどのSNSにはポジティブな情報も多く投稿されますので、認知行動療法的アプローチを開始して間もない頃は、思い切って「SNSを見ない」ことはオススメです。
その間は過去の名著などを読み返して、ゆっくり時間を過ごしてみましょう!

処方箋⑤「マインドフルネス」
「マインドフルネス」とは「心を今に向けた状態を」のことをといいます。
絶えず過去や未来のことを考えて「心ここにあらず」の状態が多くの時間を占めています。
株式投資に当てはめれば、過去の「To the Moon」での大きな利益や損失、明日以降の投資対象の選定や期待収益の皮算用など、常に不安やストレスにさらされてしまうものです。
こうした心ここにあらずの状態から抜けだすことが「マインドフルネス」です。

そんなに難しく考えずに「目を瞑ってゆっくり深呼吸を繰り返す」だけでも次第に雑念が消えてくるので効果的です!

その他にオススメはありますか?

個人的には「筋肉トレーニング」がとても効果的だと思っています。
ベンチプレスやダンベルなどを集中して持ち上げると、あっという間に目の前のことに没頭できますよ!

資産額の増減があるので投資にはストレスが一定のかかりますが常に発生しますが、それに耐えるのに筋トレが有効なのでしょうね!
おわりに





でもこのまま調子乗ってはいけないと自覚したよ…
ちゃんと辞めるから…あと少しだけ続けさせて…

挑戦するならちゃんとルールを決めておいて下さいね!
でもレイジーさんは依存症の診断チェックリストを満たしてしまっているので、あと一回で終わりにしましょうね!

