ヘルシーアシスタントのヘルシーです!今日はどんなお話でしょうか?
アドホック今日は株式投資の世界で話題のトピックですよ!
「TMS」に関する記事になります!
株式投資がお好きな皆さん!最近話題の「TMS」って聞いたことありますか?
ティッカー名ではないですよ!
…
…
もちろん知らないですよね!
これは「To the Moon Syndrome」の略称になります。
私が勝手に作った用語です…
ヘルシーTwitterなどで見かけますね!どのような意味なのですか?
レイジーとにかく凄いの!
皆んながお祭り騒ぎしている「株」を買うの!
そして寝るの。
すると次の日にとっても株価が上昇しているの!
本当に寝ているだけでいいの!!
ヘルシーどうやら株価が急騰する現象のことを表現しているようですね!
でも「Syndrome」は「症候群」という意味ですよね。基本的には病的な兆候を意味する用語ですので、「TMS」は悪い意味なのでしょうか?
アドホックそうですね。株価が上昇して利益が得られることはとても素敵なことですよね!
ただあまり熱中してしまうと、思わぬ弊害を生じると考えています。
今回は急騰銘柄に魅了される理由やその対処法について、一緒に考えていきましょう!
今回の記事は、急騰銘柄やボラティリティの高い銘柄への投資について、その賛否を議論する内容ではありません。実際、私もボラティリティの高い銘柄には一部資金で投資をしています!
お伝えしたいことは、値動きの激しい銘柄に魅了され、その投資行動を反復するのには「心理学的裏付け」があるという客観的事実です。その事実を理解した上で、上手に今後の投資に活用して頂きたいというのがこの記事の主旨になります。
では早速始めていきましょう!
To the Moon Syndrome (TMS)とは?
ここでは「To the Moon Syndrome」の意味を確認していきましょう!
まずは「To the Moon」は「急騰期待銘柄への投資」とさせていただきます。
月に向かってロケットが急発進する様子が、急激な株価上昇に例えられているものだと思います。
アドホック厳密には「空売り比率の高く、また時価総額の低く株価変動が大きい銘柄に対して、個人投資家が協力して株価上昇を演出した銘柄」が、To the Moonの銘柄として扱われていたと思います。
ヘルシーここでは広義に急騰銘柄、言い換えれば株価変動(ボラティリティ)の大きい銘柄と定義させていただきます!
では次に「Syndrome」ですね。日本語では「症候群」です。
症候群というのは、色々な症状の集まりだとご理解ください。
ここでは急騰銘柄への投資を行うことで生じたことで、体に各種の兆候が発生している場合に、「To the Moon Syndrome」としましょう!
ヘルシー改めて「To the Moon Syndrome」を定義しましょう!
急騰銘柄への投資を繰り返し、その投資行為に過度な快楽や興奮を経験した状態にあり、急騰銘柄の報告に過度に焦ったり、その投資なしには充足感を得ることができなくなった状態のこと。またボラティリティの低い銘柄への投資に躊躇するようになり、元の投資スタイルに対して興味や関心が薄れてしまった状態のこと。
小難しい表現になってしまいましたね。
もう少し具体的に表現しますね。
ある話題の銘柄を購入して、数日で20%、30%も上昇しました。この経験がとても快感になり、次も同じような銘柄への投資行動を繰り返してしまう状況に陥ります。
そうすると周りの同様の銘柄が気になり始めます。次第に他の人の爆益報告を耳にするだけで、その銘柄を購入していなかったことに対して焦りを感じたり、投資をしていない自分の責めるように感じてしまう状態までなってしまう「心理状態」になってしまうのです。
さらには指数連動型商品や値動きのマイルドな大型株への投資が勿体ないと以前と異なる感情を抱くようになり、例えばインデックス投資家がスタンスを元に戻すことができないという「行動変容」まで含む概念だとご理解ください。
アドホック「To the Moon」に魅了されてしまった状態ということですね!
ヘルシー短期間で大きな利益を狙えますので、ハマってしまう気持ちには共感できますね!
レイジーI love “To the Moon”.
投資をしている人の中には「To the Moon」のように、短期で大きな利益を得たいと考えている方が多いと思います。
それを実践するかどうかは別として、投資家なら、自分も同じような恩恵を享受したい感じるのは、至極当然のことだと思います。
ではここからは、なぜこれほど「To the Moon」に魅了されるのか、考えていきましょう!
オペラント条件付けによる行動の強化の説明
「オペラント条件付け」という概念をご存知でしょうか?
バラス・スキナー氏により提唱されたもので、「ある環境に対して自発的に行動を行い、行動を起こしたことにより起こった結果(刺激)に応じて、その自発的行動の頻度が変化する学習の仕組み」のことになります。
アドホック少し難しいですね。ここでは実際の実験を見てみましょう!
ネズミさんをご協力いただいた実験です。

スキナー氏はある工夫を凝らした箱を作りました。
ここでは「スキナーボックス」と呼びます。
スキナーボックスの中にはレバーが設置され、そのレバーを引くと自動的にエサが出てくる仕掛けになっています。
スキナーボックスにネズミさんを入れ観察をしました。
しばらくスキナーボックスの中を歩き回っていたネズミさんが、レバーの近くを通りかかり偶然レバーをひいた時、目の前にエサが「ポンっ」と出てきました。
ネズミさんは驚きます!そしてエサが出てきことに大喜びです!
どのようにして目の前にエサが出現したのか、ネズミさんには分かりません。
そこでエサの出てきた周辺をクルクルと歩き回りますが、エサは一向にでてきません。

諦めかけたその時、ネズミさんが再び偶然レバーの近くを歩き、足にレバーにひっかかりました。
すると、エサが「ポンっ」と目の前に出てきました!
ここでネズミさんは気が付きます。
「どうやらレバーに何か仕掛けがあるのかな?」
次にネズミさんは「自発的に」レバーをひいてみました。
すると再びエサが出てきました。
「そうか!このレバーをひくとエサが出てくるのですね!」
レバーの仕組みを理解したネズミさんは自発的にレバーを頻繁に引くようになりました。
この一連の実験が「オペラント条件付け」になります。
ヘルシー「レバーを引く」→「報酬」→「再びレバーを引く」→「報酬」というように、「レバーを引く」という行動がどんどん加速していきますね!
アドホックそうですね!これを「正の強化」と呼びますよ。
ヘルシー反対にレバーを引いて嫌なことが起きてしまったら、その行動の頻度は減少しますね。
アドホックその通り!今度は「負の強化」と呼びます。
まとめると以下のイラストのようになります。
では「To the Moon Syndrome」との関係を考えてみましょう!
株価上昇局面、所謂「ブルマーケット」では、たくさんの銘柄が急騰しました。
急騰銘柄を掴んでうまく利益確定が成功し、次の銘柄に飛び乗りまたまた利益を確定、どんどん資産が増えていったらどうでしょうか?
ヘルシーとても嬉しいことですよ!資産を増やしたくて投資を頑張っているわけですから!
レイジーお金が増えると快感なの!何回でも「To the Moon」したいの!
インデックス投資は機会損失なの!
他の人の爆益報告が気になって仕方ないの!
ヘルシーなるほど!そういうことですね!
「To the Moon」→「報酬」→To the Moon」→「報酬」というように、「正の強化」が完成していますね!
アドホックその通りです。もちろん短期間で利益が得られるチャンスを活用することは大切です。
大切なのは「その後の投資行動の変更が難しくなる」ということなのです。
最初は興味本位で急騰銘柄に飛び乗ったつもりが、いつしかそのような銘柄だけに投資するようになっていませんでしょうか?
そして「正の強化」が完成した行動を変えることは難しいということを、ここで理解しておきましょう!
「変比率強化スケジュール」による「正の強化」のビルドアップ
ヘルシーちょっとした気持ちで始めた行動が、報酬を与えられることで、次第に習慣化してしまうのですね。ちょっとゾッとするお話でした。
アドホックまだまだお話には続きがありますよ!
今度はこの「正の強化」をさらに増強する要素である「変比率強化スケジュール」について触れてみようと思います。
先ほどはネズミさんがレバーを引けば、すぐにエサがもらえる設定でお話していました。
このエサの与え方は他にも方法があります。
具体的には4パターンがあることが知られています。
①「定比率強化スケジュール」
一定回数後に決まったタイミングで報酬を与える一般的なものです。
先程のスキナーボックスの例では、ネズミさんが10回レバーを引いたら、必ず1回エサがもらえるような設定になります。
②「変比率強化スケジュール」
これは報酬までの反応数が不規則に変化するものです。
例えば、ネズミさんがレバーを引いてすぐにエサがもらえることもあれば、何回も何回もれバーを引いてやっとエサが出てくることもあり、その試行回数が毎回ランダムに変化する設定になります。
③「定間隔強化スケジュール」
これは一定の時間が経過したら、最初の反応に報酬を与えるものです。
レバーを引いて半日程経過するとエサがもらえるような設定が該当します。
④「変間隔強化スケジュール」
これは一定時間経過ごとに報酬が与えられますが、報酬が得られるまでの時間が不規則になります。
レバー引けばエサが貰えますが、そのエサが出てくるまでの時間が変動します。
アドホックこの中で最も強化が増強されるものが「変比率強化スケジュール」になります。
ヘルシーこれってまさにギャンブルのことですよね。当たることもあればハズレることもあって。特にハズレが続くと、次に当たりを引いた時の喜びは大きいです!
ここで考えてみてください。
「To the Moon」も同じではないでしょうか?
いくらブルマーケットでも、百発百中で上昇銘柄ばかりを歩き渡れる訳ではありません。
ある銘柄では利益確定できても、次の銘柄では損切りするかもしれません。
ただ損失が発生した後に、それを取り戻すほどの利益を再び手にすることができたら、とても興奮しますよね!
このように「To the Moon」で利益が得られるかどうかにはランダム性があり、これがより一層「正の強化」を強めるのです!
ヘルシー最初はお遊び感覚で始めたはずの「To the Moon」だったのに、気が付いたらそればかり追いかけてしまうのには、こういった行動の習性があるからなのですね!
おわりに
アドホックお疲れさまでした。少し長くなりましたので、今回はここで終わろうと思います!
ヘルシー時に投機的な投資をしてしまうのは、決して意思の弱さだけではなく、そのように行動が習慣化されていたからなのですね!
アドホックそこがとても大事な点ですね。急騰銘柄投資を繰り返してしまうのは、メンタルや心の弱さが主な要因ではありませんので、ご自身のことを卑下したり、自尊心を低下させる必要はありません!
ただそのような投資環境にあるという現状の理解がとても大切になります。
ヘルシーあとは効果的な対処法はありますか?
少しレイジーさんが心配です…
ヘルシー前よりもSNSで銘柄探しをする頻度が増えたり、レイジーさんと一緒にランチしてても投資以外のお話は上の空なのです。
アドホックもしかしたら「TMS」の次の段階「TMAD」かもしれませんね…
アドホック「To the Moon Addiction Disorder」です。
「Addiction」は「依存症」ですね…
具体的な処方箋は次回ご紹介します!
ただ最も大切なことは、ここで説明したように「To the Moon」に代表されるようなボラティリティの大きな銘柄に投資する行動は、一度実践して利益が得られると、その後は習慣化しやすいという客観的事実を知ることです。
この記事を読んだだけでも「ハッと」心が動いた投資家さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
私自身、ボラティリティの激しい銘柄に一部資金を投じていましたが、この記事を書きつつ冷静に振り返ってみると、あの狂乱の宴に再び戻るべきなのか、今では再考するようになっています。
特に初回の投資時と異なり、今は行動が「正の強化」をされている状態です。
そのバイアスがあることをしっかり認識して、時価総額が低い銘柄や爆益報告の目立つセクターの銘柄に投資する場合は、幾重にも検討を行い必ず売買ルールを設定して取り組みたいと考えています。
アドホック最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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